魔法は科学で出来ている

ナノテクノロジーを人工知能で解析し、魔法を構築するための手順書

ナノマシンの定義や常識

機械学習ナノマシンを用いて実現するみたいな話をしたので、そもそもナノマシンってなんだっけ?っていうところから始まります。

ナノマシンは、物理学やしばしばSFに出てくる概念ですが、ここでは原子を直接操作できるものを理想としています。 直接操作というと量子科学の領域になりまして、例えばIBMが原子を直接操作して映画を作ったりしています。

eetimes.itmedia.co.jp

サイズ感としては、原子のサイズが0.15nmとかみたいです。ナノマシン - Wikipediaみると、0.1 - 100 nmサイズの機械装置を意味する概念とありますので、おおむねこのWikipediaの定義のままでいいかなって思ってます。ちなみに、ウィルスは20~200nmぐらい。

ウィルスと同じぐらいのサイズ感なので、ウィルスの中でも高度なものを想像してもらえるとわかりやすい。ノリとしては、Tファージみたいなものだが、これだとちょっと大きいかも。

T4バクテリオファージ、高さが200nmぐらいなので、原子1,000~2,000個分ぐらい。 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4a/PhageExterior.svg/1024px-PhageExterior.svg.png

原理的には、これらのウィルスサイズのナノマシンがものすごくたくさんあって、原子を1つづつ操作して、例えば空気中から酸素分子だけを集めてきて、そこに火をつければ、あたかも指先から火が生まれるような初等火魔法が実現できることになります。

構築において問題は色々あるんですが、とりあえずエネルギーの確保とナノマシンに対する指示が課題になります。

エネルギーについては、自己増殖機構を実装することで解決するんじゃね?むしろ無限増殖してやばいんじゃね?みたいな話が https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%BC:グレイグー問題として挙げられていますが、ここ最近否定されたようです。

ナノマシンにできないことを表現する不等式 | AIMR

特にこちらで、該当する不等式が書かれているのですが、非平衡状態における「Fluctuation–response inequality(FRI)」という不等式が存在しており、これにより環境エネルギーを無尽蔵に使うことができないことが証明されている様子。

https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1918386117:Fluctuation–response inequality out of equilibrium

なので、原子を分解して無尽蔵にエネルギーを生成することはナノレベルでもできないことになり(人類の夢がまた一つ消えました)、別のエネルギーが必要になりました。魔力に該当するものが必要ですね。どこから見つけてこようかしら。

操作系についても難易度が高いです。単純な操作はできても、プログラマブルに複雑な操作を指定することはできないと思うので、流れのようなものが必要になるでしょう。 (人の体であれば、血液の中を通ったりするので、そんな感じの空間) 風とか分子濃度の違いみたいなものでゆるくコントロールすることができるはずなので、そのあたりが今後の課題になってきます。

ナノテクノロジーは医療分野でも注目されており、すでに実用化もされているみたい。

10mtv.jp

上記の定義と同じものかは不明ですが、ナノ医療イノベーションセンター において、ナノマシンが開発され、ガン治療などが応用分野として含まれているようです。素敵。こういうところにもっと税金が使われてほしい。ほかの治療も2045年の実用化を目指しているとのことなので、あとたった20年。100歳までに不老長寿が実現できてそうな感じがするのもわかっていただけるかと思います。

ハードウェアに相当するナノマシンについてはだいたいこんなもので、次はこの設計、製造をソフトウエア的にどうするか考えたいと思います。AIっすね。